イラククルド自治政府 滞在報告(1)

7月26日、クルド自治政府エルビル国際空港着 クルド友好協会役員及びKDP副党首元自治政府首相ネチルワン バルザーニ閣下の警備担当者に迎えられる。

空港は新しく整備され、入国管理は厳重であり安全管理も充実している。 出入国管理は、一般観光客・ビジネス招待客・VIP客・3種類に管理窓口が分けられており、以前より増して警備体制も問題なし。

空港入国管理局長によると、オーストラリア航空・イラク航空・レバノン航空ヨルダン航空・ルフトハンザ航空・中東航空・エテイハド航空・ドバイ航空・ドイツ航空・トルコ航空など毎日に乗り入れしているとのことである。

日本人の出入国は、月間100人程度多い時で200人前後であると述べた。 日本からの直接入国は少なく、トルコ・イラン・ヨーロッパ・UAEにあるクルド自治政府の領事館にて査証手続を行っているとのことである。

このことは欧米近隣諸国が、クルド自治政府の目覚ましい発展に投資若しくは、インフラ事業の参加や、石油・天然ガスの調査及び開発に参加していること、 それに加えバグダットより安全である事を知り、遅ればせながら日本企業もイラク近隣諸国の駐在員を派遣しているものと思われる。

自治政府領内では以前訪問したときより、インフラ整備も整いまた5つ星ホテルも多く建設され、現在も大手ホテルが建設中である。

この他マンション、ビレッジの建設が目覚しく、クルド国民がそれを購入する際の費用は、政府が一部負担しているため需要は増えている。 また購入後の固定資産税等は、10年間非課税である。

クルド政府は開発計画に応じ、土地を無償で企業に提供する為一種のバブル状態である。国民に対する福利厚生は充実しており、家族の人数に応じた食費の負担も政府がしている。

クルド自治政府の国籍取得者が増加し、今では人口も700万人以上と増加傾向にある。 車輌の数も増え、そのほとんどが日本の新車車輌である。市内を走るタクシーは、日産かトヨタのどちらかであり全て新車である。 これだけの親日ぶりは、台湾と変わらない。

 

クルド自治政府は自治権を有し、自治政府領内に入国する場合は当然査証手続をしなければならない。 日本人が日本から直接クルド自治政府に入国する場合は、日本クルド友好協会が受付窓口を行い現地のクルド日本友好協会がそれを受け付け、クルド自治政府外務省から許可を受ける。 このことは、現在自治政府の公式手続である。 我々は、これまで、日本から、商社、NGO団体の査証手続を行ってきた。

日本外務省は、我々の存在を知っているが、我々がNGOであるとの認識及びイラク中央政府との外交上の問題もあり我々との接点をとらないようにしている。ただ当方からは、一部クルドの情報を日本外務省に対し提供している。

日本外務省は、クルド自治政府内に日本名誉総領事を任命している。しかしながら、今のところ予算の都合上、正式領事館を設置できないと、クルド日本友好協会の役員との対談で日本外務省職員が述べている。

以上のような理由もあり、日本人のクルド自治政府渡航査証取得については、日本外務省は我々の団体ではなく、日本名誉総領事に一本化したい旨である。 とはいうものの、クルド自治政府に入国する場合の査証の許可は、クルド自治政府が行うものである。日本名誉総領事がクルド人の日本渡航における査証の窓口なら分かるが、実際それも行なってはいない。

日本の名誉総領事が日本人のクルド自治政府の入国審査手続窓口業務を行うのは問題であると、クルド日本友好協会役員は述べている。

クルド日本友好協会は、クルド自治政府が日本に正式領事館を設置するまでの間、クルド側の日本に関するすべての窓口として認められている公式団体である。日本政府もこれを認めて日本名誉領事でなく、クルド日本友好協会に日本に関する窓口を移すよう要望された。日本イラク大使館員がクルド訪問の際、クルド日本友好協会を表敬訪問した。その際、クルド日本友好協会役員らは日本イラク大使館員に対し日本クルド友好協会は我々の日本事務所と同じであると伝えた。このことは、クルド自治政府も認めている。それ故、我々日本事務所と密接に連絡をするよう伝えた。しかしながら現在のところ日本イラク大使館は、我々協会とは距離をおきたいようである。

以前、我々協会から日本外務省中東二課に赴き、クルド自治政府からの要望として、日本の正式領事館の設置と日本領事館設置までクルド人の日本入国査証手続の簡略化、及びトルコ・イラン日本領事館からの査証手続を求めていると伝えた。 現在ではクルド自治政府国籍者の日本渡航手続は、トルコのアンカラ若しくはヨルダン・イラク中央政府のバグダットにて可能になった。改善されたとはいえ隣国に渡航する費用も係るので、クルド自治政府側は不満であり、早急な正式領事館の設置を求めている。

本年4月、日本大使館員のクルド訪問の際、彼らの安全保障のためクルド自治政府が責任を持って警備を行うと申し出たが、それを断りアメリカの民間警備会社を使用した。 このことは、日本の事情も察するが、クルド自治政府の信頼を傷つけられたと、クルド日本友好協会役員らは述べていた。これに加え、滞在期間中、アメリカの民間警備会社に300万円を支払っている事実も彼らは知っており、日本外務省は予算がないといいながらも民間企業に大金を支払うなら、正式領事館の設置はできるのではないかと言っていた。 我々も今回で二度目のクルド訪問であるが、治安も安全管理もまったく問題ない。

日本イラク領事が、マスード バルザーニ大統領と会見の際、バグダットが危険なら大使館をクルド自治政府に移転すればよいと皮肉を言われたと聞いている。

【7月27日】
クルドにおけるコマツサブディーラーのLOAD STAR Co.を訪問

同社のサービス部門

ペシュメルゲの現地軍人と

グローバルアドバイス社を訪問

日本企業誘致の件について協議

【7月28日】
ホームセンター「ファミリーモール」にて

日本製の工具等も数多く売られている

遊園地「ファミリーパーク」にて

エルビル市内に建設中のアパートメント

戸建住宅が並ぶ街並の様子

戸建住宅の中の様子

フセイン政権下で軍事施設だった場所が現在は公園になっている。そこでの食事の様子

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