イラククルド自治政府 滞在報告(4)

【8月3日】
日本名誉総領事と会見

【8月3日】日本名誉総領事と会見

日本名誉領事を表敬訪問し、大統領ご母堂の逝去に際し、葬儀に日本人として出席したことを説明した。

本来なら、日本大使館の方が出席すべきところであるが、クルド自治政府内に正式領事館もなく日本人が滞在していない為、クルド友好協会の方から出席するように言われたので参列したことを告げた。他国の閣僚や大使が出席する中で、私のような官位も何もないのが参列するのは外交上非礼に当るので辞退し普通の参列を希望したが、大統領も元首相も了解しているので、参列しろとのことだったので参列することになった。このことは、クルド政府や国民の方々には大変申し分けないと思っており、関係者には深くお詫びしていただきたいと伝えている。

我々は「今通訳しているセナ氏の関係により4年前から、クルド自治政府との関係を作ってきました。我々はクルド自治政府の真実を日本国民や、政府関係者に伝え、日本クルドの友好関係を築く事が使命だと考えております。今までクルド人の日本訪問に対する査証の取得の問題など協会の方々と、日本政府・関係者との関係構築などに加え、民間交流、日本留学の件などの活動をしております」と話した。

日本名誉総領事からは「クルド友好協会からも聞いている。私も日本名誉総領事として、日本の正式領事館設立を外務省を通じて、日本政府に働きかけている。この他私もビジネスマンとしてトヨタのディ―ラーになっており、ドバイからではなく、直接日本から輸入している。トヨタからも販売実績を表彰された。私の親族も日産のデイーラーであり、カワサキ・サカイの建設機械のデイーラーでもある」と述べられた。

また「今回のクルド訪問では、日本と取引きしている企業の紹介をホームページで行うので表彰された感謝状や、ディーラーの認定書などを掲載し他の日本企業進出の足がかりとなることや、日本の品物が普及していることを知らせたいので見せていただき、メールをいただけないか」と申し入れたところ、協力いただけなかった。ただし、小松建機のサブデイーラーは認定書もあり、メールも頂いている旨伝えた。

いずれにしても、クルド国内を走るほとんどが日本の新車であり、建設機械が輸入されていることに、日本人として感謝申し上げた。

【8月5日】
アリ アウニKDP役員との会見

【8月5日】アリ アウニKDP役員との会見

アリ アウニ氏はクルド自治政府政権与党であるKDPの各国NGO担当役員でもあり、我々協会の礎を築いた人物である。彼は、日本との関係を構築する為、日本にいるクルド人を探していたところ、ヨーロッパで活躍するクルド人ジャーナリストからかつての同僚である当協会のセナ氏を紹介され関係構築が始まった。彼は、新聞記者時代の同僚の紹介もあり、アリ氏と連絡を取り協会設立に4年前から携わっている。

アリ氏は、アジアの歴史にも造詣が深く、親日家である。前回クルドを訪問したときに初めて会ったが、日本での協会設立を非常に喜び、短い滞在期間中にも拘らず、クルド自治政府各党のリーダーを集めて我々と食事会を開き、クルド日本友好議員連盟を即座に立ち上げた人物である。

彼は再会してすぐ日本の被災状況を心配してくれた。震災後すぐに、クルド日本友好協会の代表者であるヌーリ氏から震災当日安否の連絡があった。当日は電話回線が非常に混雑しており、ほとんど通話が出来なかったのだが、不思議に通じた。この時は被災状況も把握しておらず、又連絡すると答えていたところ2週間後に又連絡があり、クルド自治政府として何かできることはないかと問合せがあったので、福島原発やコンビナート火災の件もあり石油が不足するから原油の提供をしていただきたいと答えた。ヌーリ氏が早速政府に要望するから文書を書けというので、現地の我々の関係者に依頼し、被災状況の現場写真を撮ってもらい最新の状況を報告し、石油の支援依頼書を送った。その後了承され日本外務省の中東担当者が、4月にクルドを訪問した際その件が伝えられたが、外交上の都合もあり現在まで実現していない件を伝えた。この件で貴国に迷惑を懸けたことにお詫びに来たと話すとアリ氏は「KDP役員会でもその協議はした。輸送ルートなど色々と協議したが、貴方がわざわざ詫びるは必要ない。このことは、大統領を含め、政府関係者に伝えておく。それより民間でこれまでクルド自治政府のため貴方方が行ってきた活動に対し感謝する」と逆に励まされた。

このほか、政治的内容等忌憚なく4時間に亘って深く協議し、知るところを得た。「イラク中央政府とは、財政配分や石油輸出の問題はあるが、互いに譲歩すべき点がある。貴方も葬儀に参列してわかるように、イラク中央政府の大統領はじめ、各閣僚が出席し他国の大使が参列してもわかるように、クルド自治政府は、イラクの憲法により、外交、及び自主権については保証されている。クルド政府は、民間外交を重視し、民間の経済活動を奨励している。これまで各国が大使館を設置してきたのも、民間の経済活動があったからこそであり、民間が進出するには、安全でなければならない、これだけ各国の企業が進出しているのは安全であることの証明である。日本にもそれを伝えて欲しい。又クルドでは、新しい油田も発見されたので、製油の生成工場など日本の技術を持ってきて欲しい。何時でも政府から指定を受けた企業を紹介するので、日本政府とは関係なく民間で出来る事は民間で行っていけばそのうち日本政府も大使館若しくは領事館を設置してくれるだろう。外交は、国益を考え相互の経済を発展させるものである。日本が遠いと言わずに、現に隣国まで来ているのだから、日本の皆さんに是非来ていただきたいとお伝えください」とも言われた。

【8月5日】
MECRI CEO との会見

【8月5日】MECRI CEO との会見

ヌーリ氏からの紹介で、マズーリ代表と会食した。彼は、前回クルド自治政府の招待で、宿泊した国際ホテルのオーナーでありクルド及び中東に5つ星ホテルを展開している。

彼は「建築に関しては、地震がないため日本の建築基準と違うが、災害が無いとは言い切れないので、日本のような安全基準を設けた建築技術が必要であり、日本の建設会社も是非進出して欲しい。現在色々な開発を進めている。日本企業といつでも提携する用意があるので是非、民間事業の交流を進めてほしい」との意見であった。

民間団体としてそれを了承しそれを約した。彼の5つ星ホテルのホームページ掲載の了承を得た。

彼のホテルは、各国要人も滞在するホテルでもある。

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